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物質の量を考えるとき、それは体積や質量を用いるよりも、物質の量そのものを使う必要がある。その物質の量を示すものがモルであり、単位はmolを使う。
物質の量、物質量は次のように定義されている。
物質量(ぶっしつりょう)は、1971年に国際単位系の7番目の基本量に定められた量で、具体的な個数は、アボガドロ定数(約6.02×1023)個とされている。
物質の量を質量や体積ではなく物質量で考える事によって、化学式や化学反応(式)を理解できるようになる。すなわち、これにより、1モルの塩化ナトリウムは58.5グラム、鉄は58.8グラムと表せるようになった。1モルに含まれる要素粒子の数は、要素粒子の種類にかかわらず一定(約6.02×1023個=アボガドロ数)である。また、1モルの理想気体は、標準状態では同じ体積(22.413 83 L(リットル))を占める。このように、モルは化学の分野では基本となる重要な単位である。
たとえば教科書の21ページの右上の実験で食塩(塩化ナトリウム)が1gできたとして、「反応したナトリウムと塩素の量はいくらか」と聞かれたとき、1:1で反応したとしても、ナトリウムと塩素は重さも状態(気体と固体)も違うのでこのままでは答えようがない。
そこで化学では基準としてモルという値が使われる。モルがわかれば化学はわかる。
モル
モル(mole, 記号:mol) は国際単位系(SI)における物質量の単位である。SI基本単位の一つである。
現在の1モルの定義は以下の通りである。
- モルは、0.012キログラム(12グラム)の炭素12の中に存在する原子の数と等しい構成要素を含む系の物質量である。(炭素スケールとよび、過去の酸素基準と分けて呼ぶこともある)
- モルを用いるとき、要素粒子を指定する必要があるが、それは原子、分子、イオン、電子その他の粒子、またはこれらの粒子の集合体であって良い。
1980年に国際度量衡委員会(CIPM)により以下の補則が加えられている。これはモルの定義の一部である。
モル - Wikipediaより引用
- この定義の中で、炭素12は結合しておらず、静止しており、基底状態にあるものを基準とすることが想定されている。
12C原子を0.012kgになるように集めたときの個数をアボガドロ定数という。
言い換えると、12C原子をアボガドロ定数個集めると、0.012kgになる。
このように、アボガドロ定数とは、物質量 1 mol とそれを構成する粒子の個数との対応を示す比例定数で、単位は mol−1である。イタリア出身の化学者、アメデオ・アヴォガドロにちなんで名付けられており、記号 NA で表す。以前はアボガドロ数(-すう、Avogadro's number)と呼ばれたが、1969年のIUPAC総会でアボガドロ定数に名称が変更された。
現在の CODATA による推奨値は NA = 6.02214179(30) × 1023 mol−1 である。6.02×1023mol−1と覚えておこう。
物質量をいうときは、どの構成粒子について言っているかを決定しないと意味がない。たとえば、標準状態で1molの二酸化炭素の気体には、1molの二酸化炭素分子が含まれているが、酸素原子は2mol含まれ、酸素原子は1mol含まれている。
質量数・原子量・分子量・式量などは、それぞれの質量の大きさを12C原子の質量を12として比較した比例値である。これは同時に、12C原子をアボガドロ定数個集めたときの質量は12gであることでもある。このことから、物質を構成する粒子1molの質量は、これらの値にグラム単位をつけものになる。
ある物質の原子量・分子量・式量にgをつけた質量を示すだけ集めた量が1molである。(1molの物質はその物質の原子量・分子量・式量の値にgをつけた質量を持つ)
1molの気体は標準状態(0℃、1.013×105Pa)で22.4 Lの体積を持つ。
たとえば台所にある砂糖と食塩、どちらがより多く水に溶けるか?・・・これは宿題で調べておくこと。
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